アドレスフリーの会社で適当な席に座ったら隣にいた女子が急に席を替えた話

 

 
 
”我々はあまりに多くの壁を造るが、架け橋の数は十分ではない”
 
 
 
 
ある日の暮方のことである。
 
 
同期女子のパソコンがたまたまとなりにあったらしく
何も考えずふらっとやってきてその隣でカタカタと仕事をしていたところ、
 
 
まるで水場を求めるシマウマの如くパソコンを求めて帰ってきた彼女が、
もの凄い手際良く荷物をまとめて一個隣の椅子に移動するではありませんか。
一瞬物凄い勢いで地球から遠ざかっていくボイジャー1号のモノマネをしているのかと錯覚してしまったほどです。
 
 
日本男児という生き物は電車などで突発的に余剰座席スペースが爆誕し、
たまたま隣にいた女子が物凄く手際よく光の速さで自身の隣から急発進し物理的距離を取った場合、
たいてい女子が思っている以上に男子の頭の中では壮絶な心理戦がおっぱじまってしまうのが常です。
 
 
その際の日本男児に頭の中は、凡そ以下の通りです。
ハラスメントを敢行しそうな危険な男子と思われているのではない
②自分は相当気持ち悪いんじゃないか
③シンプルに臭うんじゃないか
④自分が二宮和也だったら絶対移動しないんじゃないか
 
 
と、プラス思考人生に暗雲が立ち込めるような「アラ探し」的な思考回路に陥って仕舞う訳です。
 
 
逆に電車で空席が星の数ほど存在する中で、
己の隣にピンポイントで着席されたときも男児は色々と詮索してしまうものです。
 
 
その際の日本男児の頭の中は、凡そ以下の通りです。
①オレのこと好きなんじゃないか
②この電車何か変だ
③LINE訊かれたらどうしよう
アウトレイジ椎名桔平みたいなことされるんじゃないか
 

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と、期待と不安の入り混じった中学生の入学式のような心境になる訳です。
これは男子がいかに想像性豊かな生き物であるかを如実に示す事象でございますが、
対する女子側の思惑は当然ですが特に存在していないことが多かったりするものです。
 
 
私は同期女子の非人道的な行為を可及的速やかに弾劾したわけでありますが、
彼女曰く、
スペースが空いているのだから空間を贅沢に使用する権利を行使するために居住スペースの移動を不断に敢行した
・それ以上でもそれ以下でもないのである
・悪意はない
 
 
とのことです。
一周して(一体何を一周するんだ?)彼女を擁護する立場にたてば、
これは「空間を開放的に使用することによる作業効率の向上、精神的余剰の創出」のための当然の実力行使であり、男児のピュアな精神を満を持して棄損するつもりは毛頭ないという正論が導かれます。
 
 
この主張を裏付けるものとして、
トロント大学のバータニアン教授らの「空間の開放性と創造性との連関」の研究にその根拠を見出すことができますし、
トイストーリー」「ファインディングニモといった名作を立て続けに世に送り出してきたピクサー社も、
オフィスの天井の高さを意図的に確保し、開放的な空間をつくることで自由な発想を生み出しているという事例も存在しております。
 
 
しかしそれを理解した上でも男子という生き物は突発的に物理的距離を取られた場合、
その理由を猛烈なスピードで探し求めてしまう生き物なのです。