個室問題

 

大都会東京では、自分の居場所を探すのに大変苦労致します。
それは喫茶店の場所であったり、昼飯処であったりするのですが、
最も大変なのが、トイレの個室です。
 
 
駅周辺での公共トイレは、最早其処に棲みついている人種が居るのではないか、
というレベル感で常時閉塞されており、
全く人気を感じ得ない隅っこの薄暗いトイレであっても、鍵が内側からかけられているのです。
 
 
人間は誰しもが母親の子宮内で育まれてきた過去を持ち合わせているので、
四方を囲まれた閉塞感のある空間に安寧を感じてしまうのは仕方のないことですが、
「母を尋ねて三千里」のごとく、「便所を尋ねて三千里」の便所確保下手な私は、
次第に腹が立ってきて、「おのれ東京め」「おのれ集積の不利益め」と共同体への怒りを募らせ、
 
 
仕舞には「1木更津人の私に満足な便所を用意出来ずして、東京オリンピックなど開催できるのであろうか?」
「便所確約サービスを開始すれば、一儲け出来るのではないか?」と溢れ出る憤怒の念をにじませながら溢れ行く便意をなだめるのに尽力しております。
 
 
更に驚くべきことに、やっと確保した個室に着席していると、
よくノックをされるのですが、
「いやいや鍵をかけているのに、不在な筈が無いだろう」と思ってしまいます。
これは、おそらく上述したトイレ籠城族を炙り出すための戦法なので、
もしノックを返さなかったら、上からよじ登ってくる、催涙ガスを投げられる、はたまたブリーチングチャージをしてくるのではないのかと、怯えること限りなし。
 
 
東京都民の個室に対する執着には凄まじいいものがございますね。
いなかっぺは気兼ねなくウンコもできず、東京人の締め出しに対してたいそう気疲れをおこしているのです。