ガンツスーツ

 

今期もとっても冷える頃合いとなってきました。
寒冷期にあたっては如何にして「暖」をとるかという命題が人類に突き付けられ続けてきた訳ですが、
 
 
小・中学生という多感な時期は、学び舎での排泄が社会的抹殺を意味していた程に、
「我慢」という精神が彼らの独自解釈の名の下、
崇高なる市民的義務にまで昇華させられていたきらいがあり、
 
 
財政の逼迫した貧乏な行政地区わがふるさと木更津の公立校には当時当たり前のように
「我慢」が奨励され、
石油ストーブはあれでも使用可能になる最低気温が設定され、
かつ体育会系の教師のクラスになろうものなら「子供は風の子」という乱暴な大義名分を振りかざし、
ストーブすら点けないため木更津小市民は凍える毎日を過ごしていたものです
 
 
それから高校に差し掛かってくると、「我慢文明」への反抗
いうなればヒューマニズムの芽生えが生じてくるようになります。
これはそれまで我慢の象徴であった便意を代表して「便意ルネッサンス」と称される時期にあたるわけですが、
 
 
この時期に差し掛かると「寒さ」に対する抵抗力も次第に弱まってきます。
 
 
私もそれまでは下半身が寒いのは仕方のないこと、むしろ下半身は冷えたままのほうが普通だと、
つけ麵の麺みたいなことをずっと思っていましたが、
 
 
友人が体育の授業の前の着替えの時に、ユニクロヒートテックももひきバージョンを装着しているのを見て、
「ももひきなどはきよって貴様には尊厳というものがないのか」と皆に弾劾されることになりますが、
彼の必死のプレゼンの結果全員がももひきを一旦装着して体育の授業に現れたら面白いんじゃないかとの企みの下、全員が半ば騙されてももひきをユニクロに買い求めたのです。
 
 
するとなんということでしょう。
当時の我々は快適な温かさと、下半身に暖を与えるという画期的な世界がまさに不可逆性そのものであることに恥ずかしながら気が付き、
あれよあれよと2週間でクラス全員が上下黒のヒートテックを装着することになったのです。
 
 
そして何をかっこつけたのか、このスバラシイ商品を「ももひき」ではなく、
よりクールなイメージとするため、
ガンツスーツ」として広く喧伝することになったのでした。
 
 

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こうして大人は「我慢」がどんどんできなくなっていくのです。